密かに出産したら、俺様社長がとろ甘パパになりました~ママも子どもも離さない~
家族三人での生活は順調で、煌人も数日で俺と一緒に風呂に入ってくれるようになった。
ふたりでシュワレンジャーごっこをしたり、保育園で習った手遊びを教えてもらったりしていると、自然と笑顔になるし心から癒された。
俺の両親と雛子のお兄さんを交えた会食も実現し、煌人の存在に最初は驚きを隠せなかった両親も、煌人の素直なかわいらしさに、すっかり祖父母の顔になっていた。
家族の顔合わせも済むと、ベタではあるがバレンタインデーに入籍した。
名字が変わることを煌人がどう思うか不安だったが、『サカキキラトって、カスガキラトよりカッコいい!』と単純に喜んでいたのでホッとした。
月日は流れ、その年の三月。SAKAKIコーヒーは、雛子を正社員として社に迎え入れた。
彼女に任せる店舗がオープンするのは早くても秋になるが、それまでは別の店舗で接客の基本やSAKAKIコーヒーの商品知識を学び、会社に馴染んでもらうことにした。
雛子が店舗に入って数日、早めに俺が帰宅できた日に家族三人で夕食を囲んでいると、雛子が思い出したように話す。