密かに出産したら、俺様社長がとろ甘パパになりました~ママも子どもも離さない~
「なるほど。大変ですね」
「忙しい社長を夫に持つ雛子さんと、そう変わらないわよ。社長に言って、送迎担当の運転手か家政婦でも雇ってもらえば?」
「いえ、そこまでは……それこそ保護者に白い目で見られそう」
私が大袈裟に嘆くと聖子さんがクスクス笑い、その後も「ママって大変」エピソードで休憩室は盛り上がった。
あっという間に休憩の終わりが近づいてきたので、聖子さんと「まだ話し足りないから今度休みの日にでもランチしましょうね」と約束し、テーブルの上を片付ける。
ちょうどその時ドアが外からノックされたので、私は「はーい」と返事をした。
「あの、雛子さん。なんか、変なお客さんが来てますけど」
戸惑った様子で私を呼びにきたのは、アルバイトの女の子だった。
「変なお客さん?」
「はい。なんか、カラフルな法被を着てる丸い眼鏡の男の人なんですけど……『雛子を呼んでくれ』としか言わなくて」