密かに出産したら、俺様社長がとろ甘パパになりました~ママも子どもも離さない~

「どうしたの? 真面目な顔して」
「……ずっと、言ってなかったよな。〝結婚おめでとう〟って」

 私は目を瞬かせ、キョトンとした。確かに、間山から結婚を祝ってもらったことはないけど……そんなの気にしてないのに。

「でも、今なら言える。雛子、ホントにおめでとう。末永く、幸せにな」
「間山……」

 もしかして、それをわざわざ言いに来てくれたの? 間山ってば、ホント律儀でいい奴なんだから。

「ありがとう。なんか照れるね、友達からそう言われるの」
「ああ、言う方も照れた」

 そんな会話でクスクス笑っていると、新しいお客さんが入店したので「いらっしゃいませ」と顔を上げた。

 しかし、入ってきたのは客ではなく、シックなスリーピーススーツを着こなし圧倒的な社長オーラを醸し出す、私の旦那様だった。

 私たちの結婚を祝福してくれた間山だが、玲士のことは相変わらず好きになれないらしく、小さな声で「げ」と呟くのが聞こえた。

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