密かに出産したら、俺様社長がとろ甘パパになりました~ママも子どもも離さない~

「ねえ、煌人。世の中、いい人たちばかりじゃないの。優しい顔をしておもちゃやお菓子をくれた後で、痛いことや怖いことをする悪い人がいる。今回の歯ブラシだって、煌人を油断させるためにくれただけで、後で煌人を誘拐するつもりかもしれない」
「でも……」

 煌人は目のふちを赤くしながら、なにか言いたそうに小さな口を微かに動かす。

 しかし、こういうことはきちんと教えなくてはいけない。煌人を守れるのは、私ひとりしかいないのだから。

 私は煌人の目線にしゃがみ、小さな両手を握りながら厳しい口調で諭す。

「もしまた同じ人が店に来たら、ママか誠おじさんに教えて。煌人はもう絶対にひとりで話しちゃダメ。もちろん、物を受け取るのもね」
「……はい」

 しょぼんとしながら頷く煌人がいたいけで、胸が小さく痛んだ。

 我が子にはいつも笑っていてほしいけれど、間違えたときにはきちんと叱らなければならない。親というのは本当に大変で責任重大だと、日々痛感している。

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