密かに出産したら、俺様社長がとろ甘パパになりました~ママも子どもも離さない~
「じゃ、俺は煌人を寝かせてくるから」
「なにからなにまでありがとう。ホント助かる」
「夫婦なんだから、お互いさまだろ」
玲士の優しさにじーんと感動しつつ、私は部屋を出ていくふたりを見送った。
まだ寝かしつけが必要とはいえ、煌人は今年の夏からは子ども部屋のベッドにひとりで寝るようになった。
寝室のベッドが夫婦ふたりで使えるようになり広々としたのはいいが、煌人があっという間に成長していくことが少々寂しい。
新しいお店が軌道に乗って、私のコーヒーの淹れ方やこだわりがきちんとほかのスタッフにも浸透して共有できるようになったら、もうひとり……子どもを望んでもいいかな。
食事をしながらそんなことを考えていると、十分も経たないうちに玲士が部屋に戻ってきた。
「おかえり、早かったね」
「ああ、絵本一冊ですぐ寝たよ」
「よかった。あ、そうだ。プレオープンの招待客のことなんだけど……」
ふたり目の子どもが欲しいのはもちろんだが、まだ先の話。新店舗のオープンを目前に控えた今は、仕事が優先だ。