密かに出産したら、俺様社長がとろ甘パパになりました~ママも子どもも離さない~

「え……?」

 なにが起こったのかまったくわからない私は、ぽかんと口を開けて目を瞬かせる。

 すると、数歩先から玲士がゆっくり歩み寄ってきて、呆けた顔をする私に苦笑した。

 今日の彼は、プレオープンに合わせて通常の仕事時より少し華やかな、明るいブルーのスーツを纏っていて、まばゆいくらいにカッコいい。

「ボケっと口を開けていると、花びらを食べるぞ」
「だ、だって……」

 プレオープンは確かにおめでたいかもしれないけれど、なんでこのタイミングでフラワーシャワーが……?

「社内の周囲の人間に、俺がこの店を作りたいと思ったきっかけをそれとなく話したんだ。そしたら、まだ結婚式も上げていない俺たちのことを、プレオープンの機会に祝いたいと」
「祝うって……?」

 玲士の説明を聞いても、なお状況が飲み込めない私のもとに、今度は小さなふたり……煌人と真菜ちゃんがやってくる。

 ふたりの手には、清楚な蝶の刺繍がほどこされた、真っ白なレースの布。

 そ、それって、もしかして……。

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