密かに出産したら、俺様社長がとろ甘パパになりました~ママも子どもも離さない~

 キッチンに移動して食事の準備をする間も、煌人を狙う不気味な男のことが気になって仕方がなかった。

 警察に相談するべきだろうか。でも、実際に危険な目に遭ったわけではない場合は、動いてくれないんだろうな……。私が注意して目を光らせているしかないか。

「ママ、おいしい! おかわり!」
「えっ。もう食べたの?」

 小さなダイニングテーブルで向き合う煌人が、口の周りをハヤシライス色に染めながら得意げに微笑む。

 本当にかわいい、私の宝物。絶対に、危険な目になんて遭わせないからね。

 煌人のお皿にお代わりのハヤシライスをよそいつつ、私は強く心に決めた。


 翌日、兄にもその客を覚えていないか聞いてみたものの、普段から親切心で煌人に話しかける常連客は多いため、煌人が誰と話しているかとくに気に留めていなかったそうだ。

 私が配達中の出来事なら店は忙しいし、無理もない。

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