密かに出産したら、俺様社長がとろ甘パパになりました~ママも子どもも離さない~

「それでも欲求を抑えて先に煌人の方に近づいたのは、雛子の逃げ場ををなくすためだ。煌人の年齢から推測して、ほとんど俺の子に違いないだろうとは予想していたが、やはり証拠があった方が説得力があるだろう?」

 どういうこと……? 勝手にDNA鑑定までして、私を追い詰める理由はなに?

「そもそも、どうして私に息子がいると知っていたの? それに、この店のことだって」
「信頼のおける興信所に、現在のきみの生活、収入、煌人の通う保育園や趣味嗜好……ありとあらゆることを調べさせた。そして、最後の仕上げがDNA鑑定だった」

 玲士の淡々とした説明に圧倒され、プライバシーを覗き見られたことに異を唱えるのも忘れてしまう。ただ唖然として彼を見つめていると、玲士の切れ長の目が、鋭く私を射貫く。

「結婚しよう、雛子」

 私は耳を疑った。彼の中にどんな計算高い思惑があるにしても、いきなり結婚を申し込むなんて、正気とは思えない。

「……目的はなに? 週刊誌に隠し子の存在を嗅ぎつけられて、世間体が気になる、とか?」
「なにを言ってるんだ。世間体なんて関係なく、俺の心からの意思だ。離れて四年……雛子を手放した後悔はいつまでも消えることはなかった。今でも愛しているきみと、そして煌人と。親子三人で暮らしたい」
「ちょっと、待ってよ……」

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