密かに出産したら、俺様社長がとろ甘パパになりました~ママも子どもも離さない~
『……仕方ない。煌人と会うのは別の日にしよう。でも、雛子の買い物に付き合うのはいいだろ? 息子へのプレゼントだ、俺にも選ばせてくれ』
息子……そうだよね。今の私たちがどんな関係であれ、玲士は煌人の父親だ。
それに、彼の言う〝誤解〟についても、ちゃんと聞いておきたい。
「わかった。……選ぶと言っても、煌人がほしいものはもう決まってるけど」
『あの妙なヒーローのおもちゃか?』
〝妙な〟と形容する玲士がおかしくて、思わずクスッと笑う。
「そうそう。正式名称は炭酸戦隊――」
玲士に番組の詳しい説明をしようとしたら、ドアの方で物音がした。そこには眠っていたはずの煌人が眠そうに目を擦りながら立っていて、私は一旦スマホを置いて煌人に歩み寄る。
「どうしたの? トイレ?」
「うん……。ママ、誰とお話してたの?」
「えっ? ああっと……友達、だよ?」
慌てて誤魔化しながら煌人をトイレに連れていき、ベッドで再び眠りにつくのを見届けてからリビングに戻った。
玲士、さすがに切ったよね……?
そう思いながらスマホを持ち上げたら、まだ通話中のままだった。