密かに出産したら、俺様社長がとろ甘パパになりました~ママも子どもも離さない~
雛子は俺が想像していた以上に驚き、言葉を失っていた。
……帰国のことはともかく、自分の素性はもう少し早く明かしておくんだった。
俺がそう後悔していると、雛子は案の定、気分を害した様子で言った。
『どうしてもっと早く教えてくれなかったの?』
『身分を明かすことで、きみとの付き合いを変なふうに誤解されたくなかったんだ。遊びだとか、気まぐれだとか』
『隠し事があるほうが、よっぽど信用を失うとは思わなかったの?』
雛子は悲しみと怒りの混じり合った口調で、俺を追い詰める。
しかし、彼女の言い分はまさに正論だ。申し開きのしようもない。
『ああ……それに関しては俺が馬鹿だった。打ち明けるタイミングがこんなに遅くなってしまって、きみには悪いと思ってる』
手を伸ばして、そっと雛子の頬に触れる。しかし彼女は俺の目を見ようとせず、うつむいて唇を噛んでいた。
『雛子……。俺と一緒に、日本に帰らないか?』
彼女に真実を打ち明けると決めた時から、最善の方法はそれしかないと思っていた。
離れるのはつらい。しかし別れるのはもっとつらい。雛子には、いつでもそばにいてほしいんだ。