密かに出産したら、俺様社長がとろ甘パパになりました~ママも子どもも離さない~

『……レイジ。ひとつ聞くけど、彼女って、きみと付き合いながらほかの男と寝たりしちゃう子かな?』
『あり得ない。雛子はそんな女ではないし、あの頃、彼女の体には俺が愛した痕跡がたくさんあったはずだ。他の男に見せられるわけがない』

 俺がそう断言すると、テリーは苦笑した。

『レイジってそんなに執着するタイプだったんだ……。なら、答えはひとつしかないから言うけど』

 俺はごくりと唾を飲み、睨みつけるようにテリーを凝視した。

『彼女、コーヒーの香りがダメになったんだ。morning sickness……日本語でなんて言うんだっけ? とにかく、それで仕事を続けられないから、ごめんなさいって。泣きながら店主に謝っているのを見た。あれは確か、レイジが帰国した翌年の……三月頃だったかな』

 morning sickness……日本語ではつわり、だ。

 そう訳したはいいものの、俺は事態がよく理解できず、呆然とした。雛子がつわり……ということは、妊娠していたということだ。俺の子を。

 ひとりで産み、育てているのか? ニューヨークで? いや……もしかしたら。

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