密かに出産したら、俺様社長がとろ甘パパになりました~ママも子どもも離さない~

 ……そうだ、興信所を使おう。現在の生活ぶりをすべて調べ上げ、絶対に逃げられないタイミングで会いにいく。

 その前に、子どもと俺との血縁関係をあきらかにしておけば、さらに雛子は逃げ場を失うだろう。

 DNA鑑定に必要なのは、子どもの髪の毛か? 唾液か?

 久々の友人との再会にもかかわらず、それ以降俺の意識はすっかり雛子一色に染まり、拗ねたテリーに散々高い酒を飲まれ、会計をすべて持たされるのだった。





 ――そして、今日。

 いくら友人にストーカーだと罵られようとも、俺の周到な作戦が成功したおかげで、無事に再会が叶った雛子との、帰国後初のデートである。

 クリスマス直前の、日曜の朝十時。彼女と息子がふたりで暮らすアパートの前に車を停め、外に出て彼女を待つ。数分後、外階段を早足で降りてくる靴音がして、俺は顔を上げた。

「お待たせ、玲士」

 息を切らせて俺の前まできた彼女は、真っ白なニットワンピースに黒いショート丈のダウンジャケットを羽織り、足元はファーのついたショートブーツといういで立ちだった。

 その小動物を思わせる愛らしさにぐっときて思わず抱き寄せたくなるが、待ち合わせでそれではさすがに大人げない……と自重した。

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