密かに出産したら、俺様社長がとろ甘パパになりました~ママも子どもも離さない~
◇ためらいを溶かすキス
今日は日曜。煌人のクリスマスプレゼントを、玲士と一緒に買いに行く日だ。
朝、アパートまで迎えにきてくれた兄と煌人が動物園に出掛けた後、私は急いで身支度を整えた。
そのとき、無意識に玲士の好きそうな服やメイクで自分を飾っていることに気づいて、ひとりで勝手に恥ずかしくなった。
玲士と会うのは、お互いにかわいい息子のプレゼントを選ぶのが目的なだけ。
自分にそう言い聞かせても、なんだか気持ちがふわふわ落ち着かない。
もしかして、うれしいの? 玲士に会えるのが。いや、簡単にほだされちゃダメだって。まだ彼には信用できない部分もあるんだから……。
私は複雑な思いを抱え、迎えにきた玲士のもとへ向かったのだけれど――。
「ひ、雛っ! 誰だこの男は……!」
どうやら今日のデートは、最初から波乱含みの展開のようだ。
アパートの前で偶然に会った間山が、人差し指を玲士の顔に突きつけてわなわな震える姿を見て、私はそう悟った。