密かに出産したら、俺様社長がとろ甘パパになりました~ママも子どもも離さない~
「ええ、そうなんです。今日は彼女のお兄さんに頼まれまして」
「……そうでしたか。すみません、不躾に」
間山は私たちの嘘を疑わず、神妙に頭を下げる。かと思うと、こちらに歩み寄ってきて、玲士に語りかけた。
「僕は雛子さんの友人の間山という者でして……てっきり、彼女がまた悪い男にそそのかされているのかと勘違いしてしまいました」
「や、やだな間山ってば。この人とはそんなんじゃないって」
あはは、と乾いた笑みを貼り付けながら、私は心の中で冷や汗をかく。
間山には当然悪気はないのだろうけれど、〝また〟〝悪い男に〟〝そそのかされている〟って、玲士にとっては色々引っ掛かる言葉ばかりだ。
「……あなたがそんなふうに彼女を心配するのは、あくまで友人として、ですか?」
「えっ?」
不意に玲士が投げかけた質問に、間山は虚を突かれたような顔をした。
玲士、なんでそんなことを聞くんだろう。よく意味がわからないが、とりあえず間山の反応を窺う。