密かに出産したら、俺様社長がとろ甘パパになりました~ママも子どもも離さない~
「……いや。もし仮に、それ以上の気持ちが僕にあったとしたって、関係ありません。彼女は息子とふたりで生きて行こうと覚悟を決めたんです。そこに他人である僕が入る余地はないでしょう。だから、これからも友人として、ふたりを見守っていくだけです」
「間山……」
仮の話とはいえ、彼の友情の深さを感じさせる言葉が、胸に沁みわたる。
間山って、気難しいところはあるけれど、やっぱりいいヤツだよね……。
「そうですか。ライバルがあなたのように消極的な方でよかった」
ほっこりしていた私の背後で、玲士がボソッとつぶやいた。その意味深な言葉は間山の耳にも届いたようで、彼は怪訝そうに「えっ?」と声をあげた。
しかし玲士はなにも答えず、私の肩にポンと手を置く。
「そろそろ行こう、雛子さん。〝大事なクリスマスプレゼント〟の買い出しに」
そう言って美しい笑みを浮かべる玲士だけれど、よく見ると目が笑っていない。
おそらく、間山の前で演技させられたことに怒っているのだろう。
これ以上ふたりに会話させるのは危険だ。本能でそう察知した私は、玲士に話を合わせてこくこくと頷く。