密かに出産したら、俺様社長がとろ甘パパになりました~ママも子どもも離さない~
「う、うん。そうですね。じゃあ間山、またね」
「ああ……じゃあ」
なんとなく腑に落ちない様子の間山をその場に残し、私たちは玲士の車に乗り込む。
そして、間山の前を通り過ぎるまで微妙に緊張しながらも、なんとかその場を切り抜けた。
「なぜ本当のことを言わないんだ」
しかし、運転席でハンドルを握る玲士は案の定怒っていた。私は助手席で肩をすくめ、素直に謝るしかない。
「ごめんなさい。本当のことを言ったら、間山が怒るのわかってたから」
「俺は別に、悪い男と罵られても構わない。過去に雛子を傷つけたのは事実だし……。それより、雛子となんの関係もない人物のように紹介されたのがショックだった」
「……ごめんなさい」
事を荒立てたくなかっただけとはいえ、あまりに玲士の気持ちを無視した行動だったかな……。しょぼんとして謝るばかりの私に、玲士はふっと笑みを漏らす。
「そんなに申し訳なさそうにしてくれるってことは、雛子の中ではアイツより俺の方が上の存在だと思っていいのか?」
「アイツって……間山?」
「ああ。あの男、どう見たって雛子に気があるだろう」