暗闇の先に…(続)
何処をどう通って来たか分からないけれど、目の前にマンションが見えた
「はぁ、はぁ…つ、着いた」
こんなに真剣に走ったのはいつだったか…体力も限界だった
濡れて張り付いた制服が気持ち悪くて、早く着替えたい衝動に駆られる
マンションに行こうと細い路地から足を一歩、通りに出ようとした瞬間 陸斗が私の体を後ろへ引き戻した
「え、何?」
「しっ」
陸斗は私の口を手で覆ってマンションの方を見るなり舌打ちをした
「チッ」
何事かと思って、もう一度マンションの方を見ると離れた所に黒塗りの高級車
マンションの周りに黒尽くめのスーツを着た男性が数人彷徨(うろつ)いている