暗闇の先に…(続)
「悪かったな、お嬢ちゃん。まぁ…お前ら全員、座れよ」
そう促され奥のソファーへ腰を下ろす
「良いんすか?この事がバレたら、俺らがヤバイんすよ?」
「智也(トモヤ)、心配すんな。だいたいなぁ考えてもみろ。玖賀の親父さんを裏切ってんのは誰だ?東日本を牛耳っている極心会を敵に回す方が怖ぇだろ」
「まぁ、確かにそーっすね…。兄貴は親父を止めてたんすもんね。はぁ、わかりました!俺は兄貴に従います!」
タバコを消し、ドカッとテーブルの上に足を乗せ背もたれに体を埋めるサングラスの男性は不敵に笑う
「聞いた通りだ。まずは挨拶だな…俺は石垣大輔(イシガキダイスケ)。こっちは八代智也(ヤツシロトモヤ)。玄竜一家のモンだ。同盟の極心会を裏切る様な真似してすまなかったな。俺らみたいな下っ端は捨て駒に使われる。だが、俺にもプライドってモンがあってよ。裏切りが許せねぇんだわ。今回の件は、ずっと納得出来なかった」
そう言うと、石垣さんは伸びをして携帯をポケットから取り出した
「やっぱりそうか。田辺の親父…」
田辺って言ったら…確か陸斗の実家に挨拶行った時のあの人達…
「陸、心当たりあんのか?」
「まぁな…婚約の申し出を断ったからだろ」
膝の上で、ぎゅっと手を握り締める
「もしもし、俺だ。石垣だ。あぁ、時間かかっちまったが玖賀の次男坊は仕留めた。ノルマは達成した」
そう言って携帯をテーブルに置くと陸斗を見やる
「いいか。玄竜一家は、お前が死んだと認識した。バレるんじゃねぇぞ?動くなら水面下でだ。俺は、コイツ等を連れて暫く姿を消す」