【完】今日、あなたじゃない彼と結婚を決めました
「そういえば、奏。日本に帰って来ている事は駿くんには言ってるの?」
「うん、兄貴は知ってるはずだよ。まぁ…ちょくちょく連絡は取っているから」
そんな事も知らなかった。だって駿くんは奏が居なくなって、私の前で奏の話を一切しなくなってしまったから。
それは私の気持ちを考えての行動だったのかもしれないけれど、まるで私達の過ごした3年間の間には奏の存在がいなかったもののように扱われていた。
「そう。連絡を取っているのならいいけど」
「でもこうやって俺と笑真が会ってるのを知ったら兄貴は悲しむと思うけどね」
「だって、それはあんたが…」
そこまで言いかけて、止めた。
会いに来ない選択も出来た。そして今の自分の立場ならば、会わない事が正解だっただろう。
私だって同罪だ。
「でも兄貴は笑真の話は頑なに俺にしなかったよ。
だから結婚するって話を聞いた時は超びっくりしたけど。
まずあの笑真が結婚するって事自体驚いたし」
「そりゃあ私だって結婚するでしょうよ。もう27歳だし、早いって事はないでしょうよ」
「それにショッピングモールで地味に働いてるのもびっくり」
「地味とは失礼ね。」
「地味だけど、綺麗になったと思ったよ。
昔の君は少年みたいだったからね。いっつも俺の真似しちゃってさ」
「うっさい!人の黒歴史を暴露するのは止めろ」