【完】今日、あなたじゃない彼と結婚を決めました

奏の言う通りだ。あの頃の私は奏の真似っこばっかりしていた。

今よりずっとボーイッシュで、でも奏は私のショートヘアーが好きだったし、ピアスを開けたのは奏の真似だけど

好きなブランドだって洋服の系統だって似ていただけなんだ。 奏の真似をしていたら奏の気持ちを少しは理解出来るかなって思った所も正直あったけれど。

「笑真は昔から絵本作家になりたいって言ってたから、てっきり今も夢を追いかけていると思ってたよ。
俺笑真の絵好きだったし。」

「そんな昔の事を。今は全く絵なんかかいていないよ。
毎日毎日パートのおばちゃん同士の抗争に巻き込まれるいち社員よッ」

「何それウケる。」

「ウケるって人ごとねぇ!本当に大変なんだからッ。
おばちゃんになっても互いにマウント取り合ったりしちゃってさ。本当に腹立つったらありゃしない。
私に散々文句ばっかり言ってくる癖に、面倒な事は全部丸投げしちゃって!」

「あっははは。おばちゃんパワーすげぇ。おばちゃん怖すぎるわ」

「ショッピングモールは社員が少なくってパートが多いから本当に大変なんだよ?
私の婚約も面白おかしく話しまくる歩く週刊誌みたいな人もいるし
課長なんてパートのおばちゃんには頭が上がらないの!」

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