【完】今日、あなたじゃない彼と結婚を決めました
「うんうん。」
「だから自動的に若めの社員の私に文句が殺到するのッ。
時たまお前たちうるさいー!黙って仕事しろー!って言いたくなるけれど、そこは大人だからぐっと堪えてね。
でもすっごく溜まるの。だっておばちゃん集団に辞められたら困るの私じゃん?
はぁーすっかり社会の歯車になってしまってるよ。学生の頃は楽だったよねぇ」
「あはは、社会の歯車になっちゃってるんだ。
1回ブちぎれて見ればいいじゃん。ババアうるせーって!」
何を仕事の愚痴などを奏にこぼしてしまってるのだろう。
奏も奏でそんな私に呆れたりもせずに、うんうんって優しい相槌を打って笑って話を聞いてくれる。
そんな所も変わらない。
駿くんには絶対にこんな事は言えない。だって駿くんは私の愚痴なんて興味ないと思うし、絶対に誰かの文句なんて嫌な顔するに決まっている。
叱られちゃうかもしれないから、いっつも大人しくしている。だから駿くんは私がこういう負の感情を抱く人間だとは夢にも思わないだろう。それを見せないのも自分だけど。
いつだって正しい言葉で正論を言う駿くんにこんな事を言ったら、呆れられちゃうのは眼に見えていて。