【完】今日、あなたじゃない彼と結婚を決めました
ベッドから体を起こしてリビングに行くと、駿くんは真剣な顔をしてパソコンに向き合っていた。
私に気が付くと笑顔を作り、パソコンを閉じた。
「どう?調子は」
「うん。薬が効いたのか大分楽になったよ。何かごめんね…。会社休ませてしまって、仕事もあったんでしょう?」
「もう、今日何回ごめんって言うの。謝られるような事はされてない。
それより食欲ある?お粥ばっかじゃ味気ないと思って、うどん作っておいたよ」
「ありがとう。食べる。そういえばお腹が空いた気がする」
お腹を押さえる仕草を見せると駿くんはくすりと笑い、ソファーから立ち上がってキッチンへ向かう。
そういえば、良い匂いが部屋中を充満している。その匂いを嗅いでぐぅーっと小さくお腹が鳴ったら駿くんはまた柔らかい笑みをこちらへ向けた。
卵とネギのシンプルなうどんだったけれど、優しいお出汁の味がする。 こんな時でもちゃんと食欲はあるものね。そう思いながらうどんをゆっくりとすすった。
「美味しい…相変わらず料理上手だよね、駿くん」
「料理って言わないじゃん。こんなの」
「付き合い始めた時もよく作ってくれたよね。私より料理上手なもんだからびっくりしたし」