【完】今日、あなたじゃない彼と結婚を決めました
あの日も仕事帰りに時間が合って、イタリアンのお洒落なレストランに連れて行ってくれた時だった。
『俺さ笑真ちゃんが好きなんだけど。』そう告白された。それは余りにも突然の告白だった。
彼にとって私は弟の恋人だった女で、妹のようにしか思われていないと思っていたから。
奏の件があったから、親切にしてくれているとばかり思っていた。
『気が付かなかった?結構前から好きだったんだ。』
『全然気が付きませんでしたけど』
駿くんは学生時代からモテていたし、私にとっては雲の上のような存在だった。
きっと奏と付き合わなければ話をする事もなかった人だと思う。
学生時代から付き合っていた長い彼女だって居た。その人と別れたのは、奏が私の前から姿を消した頃だった。
突然の告白はシンプルに嬉しかったけれど、それと同じくらい戸惑いがあった。
そんな私の戸惑いは駿くんにはお見通しだったみたいだけど。
『返事は急がなくっていいよ。笑真ちゃんだって俺からこんな事を言われて戸惑いもあるだろうし』