【完】今日、あなたじゃない彼と結婚を決めました

駿くんは私のどこが好きだったのだろうか?

私はどこにでもいる普通の人間で、謙遜ではなく駿くんに釣り合いが取れている人間ではないと思う。

そして自分の弟の元彼女だ。普通の男性だったら、嫌なのではないだろうか。それに周りにだってあらぬ噂を立てられた事だろう。

奏と付き合う事で駿くんとも自動的に知り合いになった。奏ありきの関係だったのに、いつから私を好きになったのかも見当はつかなかった。

『いつのまにか気づいたら好きになっていた。』

私のどこが良いの?と質問をしたら、いつだってそうはぐらかされた。

『人を好きになるのに理由なんかないよ』

と、正論を言って。

私は始め、それが同情の類のものかと思っていた。

自分の弟は彼女を捨てた。そんな可哀想な女を放っておけなかっただけ。

いつまでもめそめそと悲しんでいる私と一緒に居るうちに、同情と愛情をはき違えてしまっただけ。そうともとれる。

人の気持ちを疑うのは、浅ましいとも思う。

それでも疑問なのだ。

何故?いつ?あなたは私を好きになったのか。
どうして付き合おうと思ったのか。そして何故私のような人間と結婚しようと、決めたのか。


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