【完】今日、あなたじゃない彼と結婚を決めました
「安田くんはすっごくモテました。ね、笑真ちゃん?」
こずに視線を投げかけられて、なんて答えていいか分からなくなる。
どうか私に話題を振らないで欲しい。
「そうだっけ?」
惚けた振りをして適当な返事をすると、パートのおばさまたちは興味津々で奏の事を訊ねてくる。
「私、結婚しているの?って聞いたら僕はモテないんで~って彼言ってたわよ。
絶対そんな事ないでしょう?ほら、あの子アイドルのなんだっけあの子に似ているのよねぇ」
「佐々木さんや望月さんと同い年って事は27歳?良い歳ごろよねぇ」
「そういえば、望月さんと彼って似ているわよね」
ひとりのパートさんが笑いながらそう言う。一体私と奏の何が似ていると言うのか。しかし何故かその言葉には既視感があった。
いつかどこかで聞いた事のある言葉。
「くっりくりな目がね。」
「どんぐりみたいに大きな目が確かに似ているわ」
「そう…ですか…?」