【完】今日、あなたじゃない彼と結婚を決めました

アレはそうだ。大学生になってから奏のお母さんの経営するスナックによく飲みに行ってた頃の話で

常連のおじさんたちに、よく言われてた。
’奏と笑真はよく似ているなぁ~’って。

私達の顔が似ていたのかは分からない。でもぱっちりとした二重の瞳は私の特徴であり奏の特徴でもあった。こんなに瞳の大きな子はそうそういないよと昔からその部分だけ、褒められた。

そして私達はおんなじ顔をして笑うとよく言われた。…でももうあの頃のようには、笑えない。

「望月さんも可愛らしい顔しているものねー」

「あはは…そんな事ないでしょう…」

適当な言葉で誤魔化した。

ここで私と奏が過去に付き合ってる事が知られてしまえばおばさまたちの噂の格好のネタになるに違いない。

それだけは避けたいところだ。


午後になり、こずと一緒にバックヤードで新しい商品のチェックをする事になった。最近はこずもほぼ仕事も覚えた事もあり、すっかりと一通りの業務をひとりでこなせるようになった。

パートのおばさんと組んで仕事をすると余計な話ばかりになってしまうので、ありがたい所だが…。

何故か今日のこずは浮かない顔をしていた。

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