【完】今日、あなたじゃない彼と結婚を決めました

「もう春の商品かぁ…。すっかり早いなぁ」

「そうだね。ショッピングモールで働いてるとワンシーズン早い商品を目にするから季節感がずれてくるね。」

「でもあっという間。特に25歳を過ぎたあたりから1年なんてあっという間な感じがするから歳を取ったなぁって思うよ」

「私達もうアラサーだもんね。」

その言葉にくすりとこずと顔を見合わせる。

あ。やっぱり春だ。パステルカラーや桜柄の品物が多い。気持ちが明るくなってしまうよなピンクや黄色の商品を手に取って、改めて思う。

こずとの言う通り。いつの間にか1年があっという間に過ぎる感覚になった。

学生の頃なんて1日だって長く感じて、この時間が永遠に続いていくんじゃないかって思っていたし。

「笑真ちゃん、結婚式の日取りはもう決まったの?」

「それが全然。駿くんと休みが中々合わなくってさ。式場の相談に行こうって言ってるんだけど、中々ね」

「そっかぁ。一生に一度の事だから後悔のないようにじっくりと考えた方が良いよ。
私なんて出来ちゃったもんだから、お腹に子供がいる状態で準備したからバタバタだったよ。
今思えばもっとしたかった事沢山あるなぁーと思うしね。」

「そっか。そうだよね」

ふっと商品を見ながらこずが小さく笑う。

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