【完】今日、あなたじゃない彼と結婚を決めました
「前にさ、笑真ちゃんの先輩とお昼一緒になって話した事があるでしょう?
結婚っていいものって」
「あぁ、そんな話もしたねぇ」
「子供は可愛いし、平凡な毎日が平和だとも思うけど
時たま本当にこれで良かったのかなぁと思う事もあるよ。
毎日旦那や子供の世話を焼いてご飯を作って、こんなに太っておばさんって呼ばれるようになっちゃってさ。
あの時子供が出来ていなかったら、今の旦那と結婚したかも分かんないし、もっともっと別の人生があったんじゃないかって考える時もあるの」
そう言ったこずの目はどこか悲し気だった。
「私、今の旦那が人生で1番好きだったかって訊かれると、そうじゃなかったなぁって思うんだよ」
「こず…。」
「でもそれってきっと無いものねだりなんだと思うけどね。今が平凡で幸せであるから考える事だって沢山ある。
それに結婚は2番目に好きな人とした方がいいっていうしね」
「それはよく聞くよね…。」
「それに自分が好きな相手より自分を好きになってくれた相手と結婚する方がいいってのもよく聞くしね。
そう考えたら笑真ちゃんの選択は間違っていないように思うよ」
こずの言葉に顔を上げる。
私は一体この時どんな顔をしていたと言うの?
そんな私をこずは不思議そうな顔をして見つめる。