【完】今日、あなたじゃない彼と結婚を決めました
どんな小さなことでもありがとうを言ってくれて、毎日のようにご飯も美味しいって言ってくれる。
付き合った3年間で駿くんは全く変わらない。その容赦のない優しさは日々大きくなっていく一方で、けれどその反面どこまでも優しすぎる駿くんを怖いと感じる時もあって。
彼の口から負の言葉は一切見えない。見えないからと言って、それがないとは限らないという事。
誰の中にも人には知られたくない自分がいる。勿論私の中にも。それを一切見せないことが怖いのだ。
駿くんは結婚をした後もずっとこんな人なのだろうか。完璧に自分を保ち、どんな事があっても弱みを人に見せない。
私には、そんな自信はない。
私は駿くんが思っているよりずっとがさつでだらしがない人間だ。でもこの3年駿くんにそういった格好悪い自分を見せて来なかった。結婚してからも、駿くんが思い描く通りちゃんとした自分でいなくちゃいけない。それは少しだけプレッシャーだ。
もしも駿くんの中にきちんとしていない一面があるのだとしたら、私はそれが知りたい。
「休み取れたって?」
「そう。この日なんだけど、都合大丈夫?」
出来たばかりの来月のシフト表を広げ、駿くんに見せる。
それを見た駿くんは満足そうに頷いた。
「大丈夫。笑真はピンクミントとクイーンズWの式場を見たいって言ってたよな?
明日予約いれておくよ」
「うん。でも本命はピンクミントだけどね。
花火が上がるんだって。素敵じゃない?」