【完】今日、あなたじゃない彼と結婚を決めました

コンビニに入って人の飲み物まで勝手に決めて、会計を済ませる。

ちょっと、と何度も言ったが取り合っては貰えない様だ。渋々後をついていくと、近くにあった公園のベンチに腰をおろしお茶を手渡してきた。

「懐かしい…」

手の中には、ピーチティー。あの頃好んで私が飲んでいた紅茶だった。
ニッと笑う隣の男の手には、レモンティーがあった。

昔は好きだったけれど、最近は余り飲まなくなった。駿くんに合わせて珈琲ばかり飲んでいた。

久しぶりに口にすると、すっきりとした味がアルコールの回る頭に冴えわたるように広がって行く。

「さっきの女の人。会社の人って言ってたね、映画館に一緒に居た人でしょう?」

「そうそう。日本支社を立ち上げた時に面接に来てくれて事務仕事やってくれてる子なんだけど、いい子でさぁー。
俺らより2個下だよ。」

「へぇ。あの子奏の事好きなんじゃないの?」

「まさか。やたらと懐いてくるけどそういうんじゃないでしょ。」

「相変わらず鈍感なの。昔から奏の事好きな子なんて沢山いたじゃない。私と付き合ってる時だって…。あの時の女の子たちと同じ目してた。あの子が奏を見つめる姿」

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