【完】今日、あなたじゃない彼と結婚を決めました
駿くんが選んでくれたドレスは、背中を大きく露出したAラインのドレスだった。どちらかといえば派手さのないシンプルな清純な物で、これを選ぶのがまた彼らしいなとは思った。
そしてきっと彼はこう言ってくれると思う。
「笑真、綺麗だよ」
頭で想像した通りの返答が返ってきて、思わず笑ってしまう。
「ふふ…」
「何笑ってんの?」
「いやあ…。きっと駿くんならどんなに私のドレスが似合ってなくっても綺麗だよって言ってくれるんだと思って。
駿くんもタキシード姿すっごく似合ってる」
「本当に綺麗だと思ってるから言っているんだよ。
笑真は背も高くて華奢だからあんまり装飾のないシンプルなドレスが似合うと思ったんだ」
そう言って優しく微笑む。
そんな駿くんが着ていた灰色のタキシードもよく似合っている。白を選択しない所がまた彼らしい。
背が高く顔も小さいから何でも着こなしてしまう。プランナーさんも思わず頬を赤らめて「素敵です…」とぼそりと呟いた。
でもね…私に、このウェディングドレス本当に似合う?
一生に一度の事だから、自分できちんと決めたい。どんなに時間が掛かっても、迷っても…。