【完】今日、あなたじゃない彼と結婚を決めました

小さい頃から憧れていた。チャペルの前で真っ白のウェディングドレスを着る事。シンプルなのも良いけれど、もっと派手でも良い。羽根のようにレースがふわりと舞うような皆の目を思わず惹いてしまうようなウェディングドレス。

今日はただの試着だけれど、結局最終的に決める時もきっと駿くんが選ぶ、そして彼の気に入るドレスに私はしちゃうんだろうな。だって、彼の決める事を信じていれば間違いないって分かっているから。


私っていつからこんなに自分がない人間になってしまったんだろう。

大きな全身鏡に映る自分は、美しいウェディングドレスを着ているというのにやけに冴えない顔をしている。

隣で肩を寄せ合って微笑う駿くんに合わせて、下手糞な笑顔を作る。


最後にウェディングプランナーさんに相談をした。今人気の式場である為半年先まで予約でいっぱいだった。

その話を聞いている時も、どこか心ここに在らずと言った感じで頭がずっとふわふわしている。

これは現実?私は結婚をするの?こうやって結婚式会場に来て、模擬挙式を見てドレスの試着をして見ても、それはどこか現実感がなかった。


私が結婚して一緒に幸せになりたかった人は本当にこの人だった――?

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