【完】今日、あなたじゃない彼と結婚を決めました
「今日は疲れた?」
「え?」
「何か、ずっと上の空だったなぁと思って。」
「あ、ああ…ごめん。ちょっと、色々と話を聞いてるうちに頭がごちゃごちゃしちゃって。」
「はは、結婚式って考える事がいっぱいあるもんなぁー。
でも今日行った式場雰囲気が良かったよなぁ。口コミでも良いって聞いてたけど、プランナーさんも感じの良さそうな人だったし」
「そうだね。」
ブライダルフェアの帰り。私達はイタリアンのレストランに来た。
駿くんはパスタを食べながら偉くご機嫌だった。よっぽど今日の式場が気に入ったに違いない。…駿くん始めっからここがいいって言ってたもんね。
近いうちにもうひとつの候補の式場に行く予定だったが、それは無駄だったんじゃないか。
もうひとつの候補は私が強く推している式場で、花火が上がる所が特徴のひとつであったんだけど駿くんは余り乗り気ではなかったみたい。
結局式場選びひとつを取って見ても、私は駿くんの意見に流されてしまうと思う。
無駄な抵抗なんてしたくない。それで互いにぎくしゃくするのも嫌だし。
「今度の休みにもうひとつの所に行こう。笑真見たいって言ってたもんな」
「…それは、もういいかも…」
「え?何で?」
パスタを食べる手を止め、不思議そうに駿くんが顔を上げる。