【完】今日、あなたじゃない彼と結婚を決めました
「選択肢は一つじゃないよ。やっぱり一生に一度の事だから、違う式場を見るのも大切だと思うけど?」
私達の選択肢は、いつも一つじゃなかった?
駿くんが選ぶ方。私が選ぶよりも駿くんが選ぶ方がいつだって正しいでしょう?
何を選ぶにしたっていつも駿くんが選ぶ事を優先的に考えてきた。それが最も正しい選択だと思ったから。
「でも駿くんは今日の所が気に入ってるでしょう?」
「だけど、笑真はもうひとつの方が気になってるんだろう?」
「私の事はいいよ。絶対に今日の所の方がいいでしょう」
「何でそんな投げやりな感じになってんの?笑真が主役の結婚式だよ。もう少し真剣に考えて選んだ方がいいと思う」
珍しくぴりぴりとした空気がふたりを包み込む。
どうして、こんな事を……。
今まで呑み込んできた事は沢山ある。
駿くんが良いって言ってくれても、私はこっちの方が好きだな。そう言ったとしても、あなたは正しさで自分の主張を曲げやしない。
そこで私が退かなかったら、きっと言い合いになる。駿くんが正しい。駿くんが選ぶものならば間違いがない。そう思って、何度自分の意思を押し殺してきただろう。
そしてそれに疑問を持つ事なんかなかったのに。…何で今更になって、こんなに自分の想いが溢れてくるんだろう。