【完】今日、あなたじゃない彼と結婚を決めました

昔と何も変わらない。どんな場にいても中心になってしまうような人だった。
それでいて嫌味がなく人の心の隙間に入り込んできてしまう、太陽のような人だった。

「私、奏くんには振られているんで心配はしないで下さい。」

あっけらかんと彼女がその言葉を口にした。 思わず後ずさりしてしまう。その様子を見て、また声を上げて笑った。

「すっごく素敵な人だなぁって思って、期待しちゃうじゃないですか?誰にでも優しくって、休日とかも遊びに連れて行ってくれて。
だから大分前に告白したんですけど、自分には忘れられない人がいるってきっぱりと振られちゃいました。
高校時代から付き合ってた人が居て、今もその人を忘れられないんだって。あんな完璧なのに一途って所がまた良いんですけどね。遊んでそうなのに、全然遊んでないし。
奏くんの忘れられない人って、望月さんですよね?この間会ってすぐに分かりました。」

「いえ、私はその…そのような人ではないかもしれません…」

ずっと忘れられない人って。
そんな事を彼女に話していたと言うの?

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