【完】今日、あなたじゃない彼と結婚を決めました
昔からこういう強引な所は少しも変っちゃいない。周りを巻き込んで自分のペースに持っていくのが得意な所とか。
何となくそのペースに乗せられちゃって、最初は文句ばかり言うのに最終的に楽しんじゃう自分とか。
こういった空気感は、昔から奏としか出せない物だ。
電車を乗り継いでやって来た場所は、私達が生まれ育った地元だった。そう遠くはないくせに最近は帰省するのは盆と正月くらい。
と、いうか奏が私の前から居なくなった時からなるべく近づかないようにしていた。 この街には思い出が多すぎる。
東京と言っても、都内とは全然違う。
少し離れた場所を行けば田園風景が流れていく、のどかな街だった。
駿くんたちのお家はこの辺りでは有名な家だった。名家と言われるものなのだろうか。
電車を降り立った私は、何故か懐かしい気持ちでいっぱいになる。
ひとりで帰って来た時とか、駿くんと来た時はこんな気持ちにならないのに。
ふと隣に居る人の横顔を見つめる。 スーツを着ていて大人になったもんだ。けれど制服姿だったあの頃を重ねてしまう。
あの時もこうやって地元の色々な場所に行った。海と山に囲まれた自然豊かな街で、バイクを二人乗りしたり、想い出は数えきれない。
私の青春の全てに、あなたが居てくれたあの日々たち。青すぎたあの時代にあなたはいつだって私の隣に居てくれた。