【完】今日、あなたじゃない彼と結婚を決めました
「それは今も変わらず。奏はセブン派だったよね」
「あの頃どっちに行くかって下らない事で揉めたなぁー…」
揉めた時はいっつもじゃんけんをして、学校帰りに夏はアイスを買って冬は肉まんを買ってた。
それを分け合って食べながら帰る時間さえ楽しかった。
「街って数年来ないだけで大分変わるなぁ…。」
「そうだよ。あの頃毎日のように行ってたカラオケだって大手チェーン店に変わってるし
新しい回転寿司もラーメン屋さんも出来た。
変わらないように見えて、変わって行くんだよ。」
自分で言っていて虚しくなりばかり。変わりゆく街に比べ、ちっとも変っていない自分がそこにはいたから。
「な、あそこ行かねぇ?水郷公園。」
「懐かしすぎるんだけど、水郷公園とか!
奏たちと行って以来行ってないし、存在自体も忘れてた」
遊び事と言えば、もっぱらカラオケや街をぶらぶら。
高校を卒業してから車の免許を取ってからも、この狭い地元をドライブ。
小高い丘の上にはレストランがあって、そこから夜は夜景が見えて昼は青空を泳ぐ雲が近くに見える。