【完】今日、あなたじゃない彼と結婚を決めました
けれど私は駿くんと付き合っている時、自分の全てを駿くんにはどうしても曝け出せなかった。
曝け出していたら、今を変えられたのかもしれない。それでもどうしてもそれが出来なかった。
少しずつ違和感が生まれ始めていたのに、見て見ない振りをし続けていた。きっとこのまま結婚していたとしても、いつか破綻していた気がする。
私は結局、奏との思い出を捨てれなかった。えまの宝物なんて、駿くんと付き合った時に捨てておくべきだった。それでもあの頃の大切な煌めきや輝きをどうしても捨てきれなかった自分がそこには居た。
その時点で未来は決まっていたのかもしれない。そんな噛み合わない二人が一緒に居たって、絶対に幸せにはなれない。
「もう一緒には居られないって酷い事言っちゃった……
そこまで言っておいて、結婚を考えさせてはおかしいよね。
はは。もうはっきり答え出てるじゃんって…」
「やっぱり俺のせいじゃん…」
「だからそれは違うよ。あんたはどこまで自意識過剰なのよ。
奏と再会してなくても私達の関係はいつか上手くいかなくなっていたと思う。
私さ、駿くんと付き合ってる時は気を遣ってばっかりだったよ。駿くんに相応しい人間でいなくちゃいけないって背伸びばっかりしててさ。
気が付けば本音のひとつも言えなくなってった。付き合っていつか結婚して家族になる人なのに、本音のひとつも言えないなんておかしいよ。」