【完】今日、あなたじゃない彼と結婚を決めました
「今日は魚の煮つけ。」
「うん。いい匂い。さっさとお風呂に入っちまって一緒に食べよう」
「体冷えてると思うからゆっくりお湯に浸かってね?今日寒いんだから」
「はいはい。」
私の仕事はシフト制だ。だからこの降ったり止んだりの雨のように不規則。
今日みたいに朝からのシフトだと、こうやって時間を掛けてご飯を作る事が出来る。
駿くんは結婚してからは私には仕事を辞めてほしそう。はっきりと口には出さないけれど、そういったニュアンスの話はされる。
私は仕事が好きだし、今の環境にとても満足をしているから…結婚をした後も出来る事ならば仕事は辞めたくない。でも駿くんが毎日決まった時間に温かいご飯が家庭にあって欲しいと望むならば、きっと私は仕事を辞めるだろう。
彼の為に、彼の望む自分になる。そう決めたのは、もう随分前だった。だから否応なしにいつか仕事を辞める日が来るのだろう。
男らしい人だと思う。家族は男が養っていくもんだ。と言う考えが根底にある。そしてそんな彼との結婚はとても幸せな物だろう。
不自由な想いはきっと少しもさせない。私はなんて幸せ者だったのだろう。