【完】今日、あなたじゃない彼と結婚を決めました
「オムレツ作る?それともオムライス?」
片手に卵を持って、微笑む奏を前に中々答えが出せなかった。
「どうしよう…。迷う」
「あはは、相変わらず。ちょっと迷っとけ。
その間に俺が美味しいお茶をいれてあげよう。この部屋寒いだろう?」
「そういえば……」
コンクリート作りだろうか。普通のマンションよりは寒いかもしれない。
毛布に包まって、お茶を淹れる奏の背中を見つめていた。
奏昔から変わらないなぁ。私が迷って物事を決めれない時は急かす事もなく、待っていてくれた。
私が中々ベッドから起き上がれないのを知っていて、率先してご飯を作ってくれたり
それにしてもオムレツかオムライスかぁ。どっちも魅力的だわ。ご飯かパンかという事だけど、この問いかけは昔何度も繰り返してきた。
そしてどれだけ迷っても私が出す答えはいつも決まっていたのだ。
キッチンから甘ったるい良い香りがする。
これは、紅茶の匂いだろうか。それと同時に電子レンジを回す機械音も聴こえる。