【完】今日、あなたじゃない彼と結婚を決めました
「はい、どうぞ」
「あ、ありがとう。」
差し出されたティーカップを受け取る。白い湯気が立っているカップからは、甘いお菓子みたいな香り。
口に含むと鼻からその良い香りが突き抜けて行った。
「美味しい、これ何?」
「キャラメルミルクティー。絶対好きでしょう?」
「うん。好き美味しい~…あったまる。つーかお洒落な飲み物常備してんね」
「これは美園ちゃんから貰ったんだ。お勧めなんですよって」
昨日私へ向けた柔らかい微笑みを思い出す。甘くって、ホッとする飲み物。あの子っぽい。
「ふーん、仲良しなんですねぇ」
「あら、焼きもち妬いてるんですか?はは」
からかうような口調に一瞬ムッとする。
「別に焼きもちとかじゃないし」
「あっはは、素直になれよ。でもこれは映画に連れて行ってくれたお礼ってくれたもんだよ。
美園ちゃんは良い子だけどそういう関係ではない。可愛い妹みたいなもん」
「ふーん。
あ、それよりどっちが食べたいか決めた!」
「ん。オムライスでしょう?今ご飯解凍してるし」
「何で分かるの?!」
思わず目を丸くし奏を見ると、不敵な笑みを浮かべながらカップに口をつける。