【完】今日、あなたじゃない彼と結婚を決めました
「それよりも先に駿くんにきちんと話さなきゃいけないと思う」
「それなら俺も一緒に行くよ」
さも当然と言ったように奏が言う。
「こうなってしまったのも俺の責任だから、きちんと話はつけにいくよ」
「それはちょっと困る…。まずは私一人で話をしに行ってくる。今日、今すぐにでも。
私駿くんには悪い事を沢山した。謝っても謝り切れないけれど、やっぱり私が会いに行かなきゃダメなんだよ」
駿くんと一緒に居た3年間。
本当に好きだったし、好きになろうと思った。何度も助けてもらった。
一生一緒に居ようとも一度は決めた人だ。 きちんと謝罪をしなくてはいけない。
奏の事もきちっと話をして……。
私はあなたと結婚出来ない。あの優しい笑顔を歪ませることになる。それでも私は自分の気持ちに折り合いをつけなくちゃいけない。
「笑真がそこまで言うなら。でも俺も兄貴とは話をきちんとつけるよ」
「うん……」
空模様は相変わらず曇り空。まるで今にも雨が降り出しそうだった。
駿くんは今日も私を信じて、あのマンションで待っていてくれているだろう。それを思うと胸がぎゅっと押しつぶされそうになる。
でももう、自分の気持ちに嘘をついたまま、駿くんとは一緒に居られない。