【完】今日、あなたじゃない彼と結婚を決めました
一休みした後に自分の部屋に入って、窓を開けて空気の入れ替えをする。
家を出ていく前日に洗濯機に入れておいた洗濯物が綺麗に畳まれて、ベッドの上へ置かれていた。
「荷物…少しずつまとめなきゃな…」
段ボールを組み立てて、少しずつその中に荷物をまとめる。
奏はうちにおいでと言ってくれたけれど、本当にそれで良かったのだろうか。
両親になんて言おう。駿くんのお父さんにも。挨拶はとっくに済ませていて、結婚をすると決めたのに。 駿くんと別れたからって直ぐに奏と一緒に暮らすとは言えない。
会社には何て伝えよう。このマンションだって、私と暮らすために駿くんがわざわざ借りてくれた物だった。
色々と考えて、全く荷物に手が付かない。
玄関の開く音が聴こえたのは、まだ陽が沈む前の夕方だった。
手を止めて、自室のドアの方を見つめ耳を澄ませる。がちゃがちゃ、と荷物をおろす音が聴こえ
扉を閉める音が何回か聴こえたかと思えばスーツ姿のまま息を切らせた駿くんが、扉を開けた。