【完】今日、あなたじゃない彼と結婚を決めました
「そんな事は今はどうでもいい。
取り合えず笑真は風呂に入って温まれ。そのまんまじゃあ風邪をひく。
それにもう兄貴には会いに行かない方がいい。話は俺がつける」
奏の言う通り家に上がり、お風呂を借りる。 熱いシャワーを浴びても、まだ頭は整理出来ていなかった。
お風呂の鏡に映る、首の赤い生々しい痕。本当に怖かった、それと同時に悲しかった。
私がしてきた事は当然駿くんを傷つける事だとは思う。罵られる覚悟は出来ていたし、納得も出来ずに怒られるとは思っていた。その全てを受け止めようとは思っていた。
けれどあの場所にあった殺意だけは、今も心臓が壊れそうになる程痛い。こんな風に駿くんの本質を知る事になるとは思ってもいなかった。
駿くんがあんな目をするなんて――
そして1番驚いていたのはそんな行動を取った駿くん自身だった。
子供のように項垂れて、顔も見せずに私に一人にしてくれと言った。あんな自信のなさそうな駿くんを見るのは初めてで。