【完】今日、あなたじゃない彼と結婚を決めました
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「すっかり春だねぇ。」
「本当ですね、日中はもうブラウスも半そでにしても良い位暑いですねぇ」
その日も出勤の日で、奏の家から職場へやって来た。
結局荷物は取りにいけていない。けれど奏が自分に任せてと言うから、そのまま奏と一緒に生活をしていた。
あれから私への駿くんからの連絡はぱたりと止んだ。
ショッピングモールは春色にパステルカラーで色づいていた。
更衣室で早番の美鈴ちゃんと会って、他愛のない話をするいつも通りに見える生活。
ロッカーの鏡に向かい、胸元のリボンを結ぶ。そして長い髪を輪ゴムでアップにする。
「最近暑いから髪を切ろうかなぁと思って」
私の言葉に美鈴ちゃんは不思議そうな顔をする。
「笑真が?珍し。婚約者さんが長い髪が好きだから髪を伸ばしてたんじゃないの?
せっかく綺麗に伸びてるのに勿体なくない?」
「私も美鈴ちゃんみたいにちょっと髪色を明るくして、ばっさりとショートにしちゃいましょうかねぇ」
「え。あんたマジでどうしたの?笑真らしくないじゃん」