【完】今日、あなたじゃない彼と結婚を決めました
落ち着いているように見えたけれど、酷く慌ててるようにも感じる。
まさか結婚が破談になっている事は知らないだろう。
それにしたってわざわざ会社に電話を掛けて来るような人ではない。何故か嫌な予感がした。
「あの…駿さんに何か?」
「朝から取引先に車で行っていたのですが、駿がどうやら事故を起こしたようで
今病院に来ています」
「えっっっ…」
思わず声が上ずってしまった。
事故?病院?
頭にその言葉だけがぐるぐると回る。 受話器を持つ手が震えてサーっと血の気が引いていく感じがした。
「運転中に小さな子供がいきなり飛び出してきて、慌ててハンドルを切ったようで
建物にそのままぶつかってしまったようなんです。」
「そ、それで駿さんは…?!」
「駿は病院に運ばれて緊急手術になりまして、私も今から病院に向かう所です。
まだ詳しい話は聞いていないのですが…とりあえず笑真さんにも伝えておかなければと思ってご連絡させて頂きました」
「私も今すぐに病院に向かいます!」