【完】今日、あなたじゃない彼と結婚を決めました
落ちた携帯を拾って、取り合えず奏にメッセージを送る。
駿くんが事故にあった事と、病院を…。どんなに落ち着こうと思っても、汗も震えも一切止まってくれなかった。
病院までの道のりがえらく遠く感じた。 時計の針は全く進まない。通り過ぎていく風景がやけにスローに見えた。
「高瀬さんッ!駿さんは?!」
病院について直ぐに駿くんの父親と合流する。
彼は小難しそうな顔をして、病院の椅子に腰を降ろしていた。
「笑真さん落ち着いて。今緊急手術をしている。意識を失ったまま病院に運ばれたそうなんだが、出血が結構激しいらしく…
まさかあの駿が事故を起こすなんて…」
説明をした後に「あぁ…」と言って頭を抱えたまま椅子に座り込んでしまった。
手術室の赤いランプが点灯している。駿くんの父親の隣に腰をおろし、無言のまま時間が流れていくのを待った。
カチカチッと時計の秒針が動く音だけ、静かな廊下内に響いていた。
どれくらい時間が経ったのだろう。手術中の赤いランプが消え慌ただしく数人の人間が出てくる。
執刀医が出てきて、私達に説明をする。