【完】今日、あなたじゃない彼と結婚を決めました

「笑真と居る時の奏はすっごく幸せそうに笑っててさ。
あいつは自分の環境のせいで明るいんだけど、どこか陰のあるような人間だったから
その奏があんなに素直に楽しそうに笑うんだって。すごく羨ましかった。そして奏と一緒の時の笑真も奏と同じ顔をして笑うんだ。
俺、それがすっごく羨ましかった。」

その話をしながらニコッと笑った駿くんは、いつもと一緒。優しい顔をしていた。奏の話をしているのに、一切怒っている様には感じなかった。

「父さんが奏の出生の秘密を知った時も、俺は何も言わなかった。弟だと思ってたのに、あいつを庇ってやる事さえせずに
そう思えば俺は奏には嫉妬していただけなのかもしれない。
だから…あの日奏が外国に行くって言った時も……」

そこまで話して黙り込む。
するとソファーに立てかけられた松葉づえを手にして、駿くんはゆっくりと立ち上がった。

「駿くん、座っててよ」

肩を支えようとすると、それは拒まれた。

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