【完】今日、あなたじゃない彼と結婚を決めました
「笑真、今までごめん。
そしてありがとうな」
曇りなき笑顔を前に、この3年間の思い出が一気に頭を巡る。
いつも優しくしてくれた事。
どんな時だって強かった事。
落ち込んでいたら直ぐに気が付いてくれて、慰めてくれた。
ありがとうもごめんなさいも言うべきなのは自分だったと言う事に。
どんな形であれ、彼はずっと私の側で私を支えてくれた。
あなたを大好きだった。この3年間の全てが嘘ではなかった。
玄関に出て行った駿くんが腕を引っ張ってきたのは、奏だった。気まずそうな顔をして私と駿くんを交互に見やる。
「奏?!」
そう名前を呼ぶと、駿くんは松葉杖をついてゆっくりとこちらへ来る。
その顔は私をいつも安心させる笑顔だった。