【完】今日、あなたじゃない彼と結婚を決めました
あの日、あなたと結婚をしようと決めた。
そんなあなたが、私へと太陽のような明るい笑顔を向けてこう言った。
「笑真、幸せになれよ!」
通り過ぎていく季節の中で、失くした物を探し続けた。探しては見失い、見失ってはまた探す。
どうしても諦めきれない気持ちがそこにはあった。
きっとどんな人の地図の上にも、忘れられない人がきっと居る。
私の胸の中にもずっと燻ぶっていた想いがあった。それでもあなたじゃない人と結婚すると決めた日、この想いは捨てなくてはいけないと思った。
…捨てようとしても捨てきれないくせに。
気まぐれな雨が運んできた運命の恋。
私はもう、この手を絶対に離さないから。
マンションを出た私達は、どちらからともなく手を繋ぐ。
冷えた指先も私の温もりでじきに温まる事だろう。
晴れ渡った大きな空がこちらを見下ろしている。その空を見上げて言った。